目次
1. ある映画の異変について目撃情報を募ります/海藤文字
観たら終わり。いや、観る前から物語は侵食している――“画面の隅”から始まる都市伝説×連作ホラー。
- どんな話?
低予算ホラー映画の映像の一部に“説明のつかない何か”が映っていた――映画ブロガーの視点で、目撃談が連鎖していく連作短編。映画の中→現実→ネットの噂が互いに増幅していく設計がうまい。 - ここが効く
①オタク的“映像の読み”がそのまま手がかりになる
②各話が独立しつつ、見えない糸でじわじわ接続
③「語られ方」が恐怖を増幅(メタ視点の楽しさあり) - 読みやすさ/怖さ
短編×語り口フラットでサクサク。怖さは後から染みる型。
2. 霧の出る森/嗣人
霧が出るたび、人がひとり減る。土地の“謂れ”が日常をひっくり返す、底冷えの民俗連作。
- どんな話?
禁足地の信仰と、造成された霊園、移住者たちの不幸が連作短編でつながっていく。福岡の片田舎という具体の土臭さが効いて、ページをめくるほど寒気が増す。 - ここが効く
①土地の言葉・風習・地理が“全部伏線”になる
②各話の小さな謎が、巻末で線になる
③“見に行く/入ってしまう”動機づけが自然で怖い - 読みやすさ/怖さ
章ごと完結で区切りがいい。怖さはねっとり持続。
3. こどもの頃のこわい話 きみのわるい話/蛙坂須美
「子どもの頃に聞いた、あの“妙にリアルな怖さ”」を、大人の解像度で描き直す短編集。
- どんな話?
題名に“こども”とあるが内容は完全に大人向け。身近な違和感から踏み外す瞬間を、やり過ぎない筆致で切り取る連作寄り短編。 - ここが効く
①“昔話風”なのにディテールが現代的で刺さる
②怖さの正体が説明され過ぎないから余韻が長い
③一編ごとにテーマがずれ、全体像は少しずつ接続 - 読みやすさ/怖さ
1編10〜20分ペースで通勤読みに最適。怖さは体温低下系。
まとめ
- 短編で読みやすいのに、全話が少しずつつながるタイプが揃いました。途中で一旦置いても再開しやすいし、通読すると世界観に深く沈める。
- どれも“血みどろ”より雰囲気と構成で怖がらせる系。映像・民俗・身近な記憶と、入口の違いで気分に合わせて選べる。
本記事掲載作は2025年10月24日確認時点で読み放題対象。対象は定期的に入れ替わるため、必ず商品ページの表示をご確認ください。
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