知念実希人先生の描く、国内で最も人気のある医療ミステリー「天久鷹央(あめくたかお)」シリーズ。
2025年12月5日には、待望の最新刊『血脈のナイトメア 天久鷹央の事件カルテ』が発売されることもあり、シリーズの注目がますます高まっています。
「これから読み始めたいけど、作品数が多くてどれから読めばいい?」 「読む順番は?」
そんな方のために、今回は天久鷹央シリーズ全作品の「読む順番」と「KU対象作品」をまとめた、シリーズ完全ガイドをお届けします。
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目次
「天久鷹央」シリーズとは?
まず、このシリーズの魅力と、タイトルについて解説します。
「推理カルテ」と「事件カルテ」の違い
このシリーズには『天久鷹央の推理カルテ』と『天久鷹央の事件カルテ』という2種類のタイトルがあります。これは知念先生が作品の形式で使い分けているためです。
- 『天久鷹央の「推理」カルテ』
- → 短編集(1冊に複数の独立した事件が収録されています)
- 『天久鷹央の「事件」カルテ』
- → 長編(1冊まるごと1つの大きな事件を扱っています)
当記事では、これらをまとめて「天久鷹央」シリーズと呼んで紹介していきます。
魅力:天才女医が解き明かす「診断不能」の謎
舞台は、天医会総合病院の統括診断部。 ここに持ち込まれるのは、他の病院では「診断不能」とされた不可解な症例ばかり。
「自らを透明人間だと思い込む男」「首が(物理的に)回らない患者」「人魂を見たという患者」――。
一見するとオカルトや超常現象にしか思えない謎を、天才的な頭脳を持つ女医・天久鷹央が、医学的知識と論理(ロジック)で鮮やかに解き明かしていきます。
「医療」と「ミステリー」が見事に融合した、現役医師である知念実希人先生の真骨頂とも言えるシリーズです。
主要キャラクター
- 天久 鷹央(あめく たかお) 本作の主人公。小柄で美少女のような外見だが、頭脳明晰、傍若無人。医学以外の知識は疎いが、一度見たものは忘れない(ただし興味のないことはすぐ忘れる)天才。
- 小鳥遊 優(たかなし ゆう) 本作の語り手。鷹央の部下であり、彼女に振り回される常識人の内科医。鷹央の無茶な調査に付き合わされつつも、彼女の良き相棒(兼お守り役)として活躍します。
この二人のコミカルな掛け合いと、テンポの良い会話劇も、シリーズの大きな魅力です。
著者メモ
知念実希人(ちねん・みきと)
現役医師のミステリ作家。2011年『誰がための刃 レゾンデートル』でデビュー。代表作に『仮面病棟』、本記事の「天久鷹央の推理カルテ」シリーズなど。医学的リアリティと読みやすいエンタメ性のバランスが持ち味。
「天久鷹央」シリーズ、読む順番は?
結論から言うと、おすすめの順番は「時系列順」です。
本シリーズは「短編集」と「長編」で構成されており、1冊でも楽しめます。しかし、鷹央と小鳥遊の出会いや、彼らの関係性の変化、他のキャラクター(外科医の鴻ノ池や院長の叔父・大鷲など)との関係も描かれるため、時系列順に読むことで、物語の世界により深く入り込めます。
ここでは、シリーズの「時系列順」全作品リスト(新刊含む20作)をご紹介します。
ただし、このシリーズはどこから読んでも楽しめますので、気になったテーマやモチーフの作品から読んでも大丈夫です。
【完全ガイド】天久鷹央シリーズ 全作品(時系列順)リスト
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0.スフィアの死天使【長編】 kindle unlimited
シリーズの始まりにして、鷹央と小鳥遊、二人の運命的な「出会い」を描いた記念すべきエピソード・ゼロ。天医会総合病院の統括診断部という奇妙な部署に配属された小鳥遊は、そこで天才的な診断能力を持つ鷹央と出会います。二人が協力して挑む最初の事件は、病院内で起こる奇妙な連続死。ミステリーの導入として最適なだけでなく、二人の関係性の基盤が築かれる重要な一冊です。
1.天久鷹央の推理カルテ【短編集】 kindle unlimited
統括診断部での初仕事を描いた短編集。病院に運ばれてくる患者たちが抱える「泡の病」や「人魂が見える」といった不可解な症状。これら医学的には説明不能な現象を、鷹央がその天才的な頭脳と独特の視点から、鮮やかに「診断」していきます。短編形式なので、シリーズの面白さが凝縮されており、入門にも非常に読みやすい一冊です。
2.ファントムの病棟【短編集】 kindle unlimited
引き続き短編集で、病院に蔓延る奇妙な病と謎が展開されます。「甘い毒」や「吸血鬼症候群」といった、思わずゾッとするような症状を訴える患者たち。オカルトのように見えるこれらの症例の裏に隠された真実を、鷹央が医学的知見と鋭い洞察力で解き明かします。小鳥遊医師のツッコミと、鷹央の奔放な行動のコントラストも健在です。
3.密室のパラノイア【短編集】 kindle unlimited
「閃光の中へ」「密室で溺れる男」といった、よりミステリー色の強い短編が収録された一冊。病院内で起こる、まさしく「密室」のような状況下での奇妙な事件や、患者の精神状態が引き起こす不可解な現象に、鷹央と小鳥遊が挑みます。鷹央の推理が冴えわたり、読者を唸らせる解決が待っています。
4.悲恋のシンドローム【短編集】 kindle unlimited
表題作「悲恋のシンドローム」など、患者たちの背景にある切ない人間ドラマが色濃く描かれる短編集。謎解きの面白さだけでなく、登場人物たちの感情や心情に深く踏み込み、読者の心に響くエピソードが満載です。医学の限界と、それに挑む人間たちの姿が感動的に描かれています。
5.幻影の手術室【長編】 kindle unlimited
シリーズ初の長編にして、究極の「手術室密室ミステリー」。別の病院で、麻酔科医が手術室で殺害されます。記録ビデオには、彼が「見えない誰か」(=幻影)と格闘し絶命する不可解な姿が。唯一の容疑者は、全身麻酔で寝ていた患者(天医会の研修医・鴻ノ池舞)。鷹央は彼女を救うため、小鳥遊を「スパイ」として病院に派遣し、事件の真相に挑みます。
6.神秘のセラピスト【短編集】 kindle unlimited
「雑踏の腐敗」「聖者の刻印」など、宗教的な奇跡や超能力と見紛うような不可解な症例に鷹央が挑みます。患者の信仰心や、民俗学的な背景までもが、医学と結びつくことで新たな謎を生み出し、鷹央の推理は常識の枠を超えていきます。読者の想像力を刺激する、深みのある一冊です。
7.甦る殺人者【長編】 kindle unlimited
「死んだはずの人間」によって引き起こされたとしか思えない、不可解な連続殺人事件が発生。被害者が皆、鷹央のかつての患者だったことから、刑事・鴻ノ池(兄)が捜査協力を依頼してきます。事件を追ううちに、鷹央の封印された過去や、シリーズ最大の宿敵となる人物の影が浮かび上がる。シリーズの「第2部」の幕開けとも言える、根幹に関わる重要な長編です。
8.火焔の凶器【長編】 kindle unlimited
「人体自然発火現象」としか思えない不可解な事件が発生。平安時代の陰陽師の墓を調査した大学准教授が、火の気がない場所で突如発火し焼死します。これは呪いか、殺人か。オカルト的な謎に、鷹央が医学とロジックで挑む長編ミステリーです。
9.神話の密室【長編】
「まるで神の魔法」のような2つの「密室」事件に鷹央が挑みます。アルコールがないはずの閉鎖病棟で泥酔する作家の謎。そして、数千人の観客が見守るリング上で勝利の瞬間に死亡したキックボクシング王者の謎。厳重な警備と衆人環視という2つの「密室」の真相を、鷹央が鮮やかに診断します。
10.魔弾の射手【長編】
見えない「魔弾」を放ったのは誰か。西東京市の廃病院で、看護師が転落死し、不治の病を苦にした自殺と見なされます。しかし、その娘・時山由梨は「母が一人で死ぬはずがない」と鷹央に調査を依頼。鷹央の前に「不可視の魔弾」という最大の謎が立ちはだかる長編ミステリーです。
11.久遠の檻【長編】
「不老不死」のアイドル? 15年以上前に活動していた少女・楯石希津奈が、当時とまったく同じ外見で精神科に現れます。鷹央が診察しようとした矢先、彼女は父親によって連れ去られてしまう。ミイラ化した遺体、自殺からの復活…。果たして「不老不死」は実在するのか? 鷹央がその謎に挑む長編です。
12.羅針盤の殺意【短編集】 kindle unlimited
2024年2月刊行の短編集。この巻では、鷹央が唯一「先生」と呼ぶ恩師である法医学者・御子神氷魚(みこがみ ひお)の不可解な死の謎に挑みます。恩師が遺した「挑戦状」の真相とは。鷹央がなぜ診断医を志したのか、その過去にも触れられるファン必読の一冊です。
13.生命の略奪者【長編】
医療界のタブーに切り込むようなテーマが扱われる長編。人の「生命」を巡る倫理的な問題や、それが引き起こす事件。鷹央の持つ絶対的な正義感と、それを取り巻く人間の欲望がぶつかり合います。医学の深い知識が、物語の根幹を揺るがす重要な要素となります。
14.吸血鬼の原罪【長編】 kindle unlimited
まるで「吸血鬼」の仕業のような猟奇的連続殺人事件が発生。被害者はいずれも首すじに二つの傷跡があり、全身の血液が抜き取られていた。捜査一課の桜井刑事から相談を受けた鷹央は、捜査を進めるうちに、この猟奇事件が彼女自身の過去に深く関わる、ある重大な事件と繋がっていることに気づく。
15.絶対零度のテロル【長編】
都内で相次ぐ不可解な「凍死事件」。被害者の体内からはありえない冷却物質が検出されます。時を同じくして、警察には爆破を示唆するテロリストからの犯行声明が。シリーズの中でも最大規模のクライシス・サスペンスが展開されます。鷹央と小鳥遊が病院を飛び出し、凶悪なテロリストの影に挑みます。
16.猛毒のプリズン【長編】
容疑者は、天久鷹央!? 天才医師、絶体絶命の窮地。 長野県の山奥に聳え立つ洋館「九頭龍邸」に招かれた鷹央。彼女を待っていたのは、計算機工学の天才・九頭龍零心朗からの「最後の依頼」だった。だが、捜査開始直後に「殺人」が起き、最後に嫌疑がかかったのは、まさかの鷹央本人だった。シリーズでも珍しい、鷹央が容疑者となる本格ミステリー長編です。
17.呪いのシンプトム【短編集】
「呪い」としか思えない不可解な症状を集めた短編集。患者たちが訴える常識を超えた「呪い」のような現象を、鷹央がどのように医学的に解釈し、治療へと導くのかが見どころです。オカルトと医療の境界線をテーマにした、知念先生らしい作品です。
18.鏡面のエリクサー【長編】
(2025年4月刊行)鷹央の天敵でもある叔父・天久大鷲(病院の院長)が殺人容疑で告発されるという、衝撃的な展開の長編。鷹央は、病院の危機と、叔父が抱える謎の真相に迫ります。複雑に絡み合う人間関係と、権力闘争が描かれる、読み応えのある一冊です。
19.【最新刊】『血脈のナイトメア』【長編】
心臓に宿ったのは
「殺された記憶」なのか?
心臓移植を受けた医学生・北川彰二は手術後、心当たりのない「記憶」を毎日夢にみるようになった。
それも見知らぬ森の中で誰かに襲われ、頭を殴られる夢を。
「臓器の記憶」の謎に興味をもった天久鷹央は小鳥遊優とともに調査を始めるが、心臓のドナーは暴力団の若頭だったことが発覚し……。
果たして、記憶は脳以外にも宿るのか?
現役医師が描く本格医療ミステリー!
Amazonから引用
(2025年12月5日 発売)
文庫版はこちら👇
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(補足)Kindle Unlimitedについて
今回(2025年11月7日時点)の調査では、シリーズ19作品のうち、11作品がKindle Unlimitedの読み放題対象となっていました。これだけの数を読み放題で追えるのは、入門にこれ以上のタイミングはないかと思います。
(※KU対象作品は頻繁に入れ替わります。必ずご自身でAmazonのページをご確認ください)
まとめ
知念実希人先生の「天久鷹央」シリーズ完全ガイドをお届けしました。
12月の新刊『血脈のナイトメア』の発売も控え、ますます盛り上がる本シリーズ。 Kindle Unlimitedで入門するもよし、読み返して新刊に備えるもよし、Audibleで一気に追いつくもよし。
キャラクターの魅力と、ロジカルな謎解きが融合した医療ミステリーの最高峰を、ぜひこの機会に楽しんでみてください。
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