『スマホを落としただけなのに』×『監禁探偵』|“日常が壊れる”VS“部屋が壊す”【KU】

※【KU】=(2025/10時点)Kindle Unlimited 対象。入れ替わりがあります。

はじめに

同じ“閉じ込め”でも怖さの質はまったく違う二作。
スマホ経由で生活圏そのものが侵食されるか、部屋という物理的な檻に意識が削られるか。対照で読むと、それぞれの強みがはっきり見える。


『スマホを落としただけなのに』(志駕 晃)

スマホを落としただけなのに (宝島社文庫)

Kindle Unlimited
対象(2025/10時点)

あらすじ

通勤電車でスマホを落とした——それだけの出来事から、見知らぬ“誰か”が日常へ侵入してくる。SNSのなりすまし、アプリの乗っ取り、位置情報の漏洩。恋人との会話がどこか噛み合わなくなり、自分の“いつもの生活”が他人の操作盤に載る感覚がじわじわ広がる。誰が見ているのか、どこから触られているのか、どの記録が改ざんされたのか。確認のための確認が増えるほど、自分の証明が難しくなる。気づけば、被害者と加害者の線引きさえ曖昧になっていく——“スマホを落としただけ”のはずなのに。


『監禁探偵』(我孫子武丸)

監禁探偵 (実業之日本社文庫)

Kindle Unlimited
対象(2025/10時点)

あらすじ

深夜、山根亮太は憧れの女性のワンルームに忍び込み、下着を盗もうとして遺体を見つける。現場には触れてしまった痕跡があり、通報すれば自分が真っ先に疑われる状況。しかも亮太は自室で「アカネ」と名乗る少女を手錠で拘束中——警察を呼べるはずがない。
追い詰められた亮太は部屋へ戻り、事情を知ったアカネが助言役として動き出す。彼女は亮太が見た室内の配置、鍵や窓の状態、足音や物音の時刻、被害者の交友関係を次々に問い直し、ばらばらの断片を一つの構図へ組み替えていく。聞き込みや防犯カメラで捜査の網が近づくなか、二人は“どこで誰が何をしたか”を部屋の中だけで再現し、真犯人へ至る線を引こうとする。
亮太は逃げ切れるのか。アカネは何者なのか。監禁という異常な関係が、事件の真相と二人の行き先をどう変えるのか——ページをめくる手が止まらない。


比較ポイント(サクッと把握)

観点スマホを落としただけなのに監禁探偵(更新)
脅威の形データ侵入/なりすまし=日常の外側から侵食密室拘束+捜査の二重圧。主人公は遺体発見者かつ監禁の後ろめたさを抱える
推理の軸端末ログ・位置情報・行動履歴の整合室内の配置・鍵・窓・物音・時刻を会話で再構成し、部屋の仕掛け×行動順で詰める
恐怖の質生活インフラがじわじわ侵食する不安逃げ場のない物理的圧迫+捜査に追われる焦燥、さらに倫理のグレーが重くのしかかる
テンポ事件が横に広がる(連鎖・波及)手持ち情報を縦に掘る会話推理(一点突破で緊迫度上昇)
読後感“自分もやりがち”が刺さる、不安の余韻仕掛け解明の爽快さ+二人の関係/正体が残すざらつき


まとめ

同じ“閉じ込め”でもベクトルが違う。
『スマホを落としただけなのに』は外側から日常が侵食されていく恐怖。自分の生活ログが他人の手に渡るだけで、関係も記憶もぐらつく不安が主役。
『監禁探偵』は内側から外へ突破していく緊迫。主人公はグレーな立場のまま、密室+捜査の二重圧を受けつつ、会話推理で状況を裏返すカタルシスがある。

迷ったら——

  • 現実的なテック不安を味わいたい→『スマホを落としただけなのに』
  • 一点突破の論理戦でスカッとしたい→『監禁探偵』

どちらも短いスパンで一気読み向き。気分で選んで、もう一方も“怖さの質”の違いを確かめてみて。

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