静かに心拍を上げてくる“余韻型の怖さ”。今回選んだのは、読後にじわじわ効いてくる短時間×高濃度のホラー3作です。
どれも物理的な血の量より“語り”の力で怖がらせてくるタイプなので、グロ耐性に自信がない人でも入りやすいはず。寝る前の30分、移動中の隙間時間、カフェでの読書にもぴったりです。
そしてうれしいことに、本稿の3作はすべて「Kindle Unlimited 読み放題」の対象(2025-10-02時点)。会員なら“今すぐ”試せます。※対象は変動します。ご利用前に商品ページで最新状況をご確認ください。
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1. かわいそ笑(梨)
あらすじ:ネット上に出回る怪談の中で、なぜか特定の「あの子」だけが被害に遭うという奇妙な傾向が見つかる。掲示板へ誘導するQRコード、インタビューの書き起こし、出典不明の心霊写真、匿名のメール……断片ばかりが集まり、筆者はモキュメンタリー形式で“裏の物語”をたどる。散らかったログを結び直すほど、読者は“可哀想”という言葉が加害へ反転する手順を目撃することになる。
一行レビュー:スクショとテキストの温度差が怖い。可哀想の“笑”がいつ呪いの合図に変わったのか、読み終えてから遡りたくなる。
こんな人におすすめ:
- ネット怪談/モキュメンタリーが好き
- “可哀想”という言葉の暴力性が気になる
- 断片から大きな像が立ち上がる構成が好み
2. 夜葬(最東 対地)
あらすじ:山間の寒村では、死者の顔をくり抜き地蔵にはめ、くり抜いた穴に白米を盛って親族で食べ分けるという風習がある。顔を抜かれた死者は「どんぶりさん」と呼ばれ、スマホに届くメッセージが恐怖の合図となる。取材と噂が交錯し、理不尽な“来訪”が日常を侵す。第23回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞作。
一行レビュー:“来る”理由が説明されないのに、来る。スマホ通知ひとつで体温が下がる類のノンストップ。読後は戸口が怖い。
こんな人におすすめ:
- 風習×現代の直結ホラーが読みたい
- テンポ速めのノンストップが好き
- 後味は悪くても怖さ重視でいきたい
3. 蜘蛛の牢より落つるもの(原 浩)
あらすじ:フリーライターの指谷は、オカルト誌『月刊ダミアン』に頼まれ、21年前の「六河原村キャンプ場集団生き埋め死事件」を追う。村はダム建設で湖底に沈み、「比丘尼」の逸話や生存者の「知らない女が穴を掘るよう指示した」という証言が伝説化している。取材を重ねるほど、怨霊譚と人の悪意の境界が溶け、現在進行形の危機が指谷を包囲する。
一行レビュー:取材メモが水気を帯びていく感じがいい。怨霊の名を借りた誰かの意思が、ページの湿度と一緒に迫る。
こんな人におすすめ:
- 取材行/現地検証で迫るホラーが好き
- 伝承と事件のつなぎ目に惹かれる
- 湖・ダム・沈んだ村の地勢ホラーに弱い
※『蜘蛛の牢より落つるもの』は『火喰鳥を、喰う』と物語が直接つながる続編ではありません。
両作とも単独で読めますが、共通キャラクターの“北斗総一郎”が登場する“ゆるく同一世界”の関係。『火喰鳥』の“死者の日記”ホラーミステリが刺さった人には、テイストが近い本作も強くおすすめです。どちらから読んでもOKですが、初めての方は『火喰鳥』→『蜘蛛』の順だと小ネタがより楽しいはず。
まとめ
断片のつなぎ直し(『かわいそ笑』)、風習が今に来る瞬間(『夜葬』)、伝承と悪意の境界(『蜘蛛の牢より』)。どれも“語りの外側”から近づいてくるタイプ。一晩で1冊でも、じゅうぶんヒヤッとする。
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