映画『愚か者の身分』が描くのは、闇バイトに沈んだ若者たちの“逃走の3日間”。
誰もが「明日は自分かもしれない」と感じるほどリアルで、静かな絶望が積もる。
この記事では、映画の特徴、長編小説としての原作との関係、そして続編へとつながる流れを整理していきます。
映画版『愚か者の身分』
- 公開:2025年10月24日
- 原作:西尾潤『愚か者の身分』(第二回大藪春彦新人賞受賞作)
- 監督:永田琴
- 脚本:向井康介
- 出演:北村匠海、林裕太、綾野剛、山下美月、矢本悠馬、木南晴夏 ほか
- 配給:THE SEVEN/ショウゲート
- 上映時間:130分(PG12)
- 第30回釜山国際映画祭では主要キャストが最優秀俳優賞を受賞
原作を読んだ監督が「いまの社会を見つめるうえで避けて通れない物語だ」と感じたことから映画化が動き始める。
作品全体のトーンは派手さを抑え、静かな緊張と人間の揺らぎを丁寧に追いかける方向にまとめられています。
逃げる3日間。
舞台は、闇バイトの世界で生きる若者たち。金も家もなく、名前を失った彼らは“仕事”をこなすしかない。
だが、ある出来事をきっかけに、彼らは逃げる。
組織の追手、裏切り、そして自分自身の罪。
これは、銃撃戦でも復讐劇でもなく――「社会の底で、最後の人間性を守るために走る物語」。
映像は暴力的でありながら抑制的。
街の無音、閉じられた部屋、乾いた光。どのシーンにも、現代の貧困と孤立が透けて見える。
原作『愚か者の身分』との関係
映画と原作の違い
大きな流れは同じですが、いくつかの印象的な違いがあります。
内面描写
原作では、登場人物たちの心の揺れが丁寧に描かれます。
罪悪感や諦め、わずかな希望まで、言葉が持つ温度とともに伝わってきます。
一方映画では、沈黙や表情のわずかな変化を通してそれらを感じ取るスタイルが中心です。
暴力の扱い
原作では、暴力それ自体よりも「暴力が日常になってしまう環境」が重く響きます。
映画は描写を必要最小限に抑えながら、ひとつひとつの場面が強い冷たさを持つように作られています。
ラストの余韻
原作は静かに締めくくられ、読後にじわじわと広がる余韻があります。
映画はラストショットで物語のすべてを託すような、視覚的な印象が強い終わり方です。
続編『愚か者の疾走』(2025/11/11刊)
一行レビュー
逃げることは、生きることだった。
――だが、生き延びた先に“身分”はあるのか。
作品に触れる前に
本作には、貧困・暴力・搾取・孤独といった現実的なテーマが含まれています。
描写そのものよりも、「そこから逃げられない人間の苦しみ」を正面から描いているため、読む人によっては強く心を揺さぶられるかもしれません。
暗い作品が苦手な方は、体調や気分に余裕のあるときにどうぞ。
注意
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