“死者の日記”が、いまを侵食する——。
原浩さんの『火喰鳥を、喰う』(角川ホラー文庫)は、怪異の気配と論理の反転が気持ちいいミステリーホラー。
祖父の兄の遺した日記をきっかけに、墓石破壊や失踪など不可解な出来事が連鎖し、やがて驚愕の真相へ。
映画は2025年10月3日(金)に全国公開されました。
水上恒司×山下美月×宮舘涼太の競演で、“恐怖と謎”の二重奏がスクリーンに立ち上がります。この記事では、原作のあらすじや、刺さるポイントをネタバレなしで紹介します。
あらすじ
信州で暮らす久喜雄司のもとに、太平洋戦争末期に戦死した大伯父・貞市の日記が届く。
同じころ、久喜家の墓石が破壊され、日記に関わった人々の周囲でも不可解な出来事が起こり始める。日記には、貞市の異様なほどの生への執着が記されていた。
これは、死者の念が引き起こす怪異なのか。それとも、現実に起きている事件なのか。
雄司は妻の夕里子とともに、超常現象に詳しい北斗総一郎へ助けを求める。けれど、日記をめぐる謎は、過去の因縁だけでなく、いま生きている人々の現実までも静かに侵食していく。
ホラーとしての不穏さはしっかりありつつ、本作の面白さは「何が起きているのか」を追うミステリーとしての強さにもあります。
怖がらせるだけではなく、読者に考えさせ、疑わせ、最後には足元をぐらつかせるような作品です。
ここが刺さる
- “日記”ギミックの中毒性
テキスト(記録)が現実を浸食する怖さ→論理での反転まで一直線。 - 怪異×本格の両立
“説明不能”に見える現象が、地に足のついた推理で剥がれていく快感。 - 読後の“酩酊感”
謎がほどけても残る余韻。雷に打たれたような衝撃。
こんな人におすすめ
- 民俗/記録系ホラーの雰囲気が好き
- ロジックで“怪異”を切り払うタイプの本格ミステリが好き
- 怖さより“物語のうねり”と余韻を味わいたい
怪異とミステリーの境目で揺さぶられる作品が好きな方は、〈あしや超常現象調査〉シリーズも相性がいいと思います。怪異をただ怖がるだけでなく、観察し、分析しながら追っていくホラーミステリーです。

民俗ホラーや怪異の気配が濃い作品をもっと読みたい方は、比嘉姉妹シリーズもおすすめです。読む順番はこちらでまとめています。

映画化情報
『火喰鳥を、喰う』は、2025年に実写映画化されました。
主演は水上恒司さん、共演に山下美月さん、宮舘涼太さん。監督は本木克英さん、脚本は林民夫さんです。
原作の大きな魅力は、“日記”がもたらす不穏さと、怪異に見える出来事がどう反転していくのかという部分。
映画では、その気味悪さや謎解きの空気がどう映像化されているのかが見どころです。
どこから楽しむ?
- 原作→映画:日記ギミックの妙味を先に体験してから、映像で“再解釈”を楽しむ。
- 映画→原作:映画の緊張感を入り口に、原作で布石や観点を回収。
また、Amazonの聴く読書、Audibleでも配信されています。
気になる方はこちらからどうぞ→『火喰鳥を、喰う』をAudibleで聴く
まとめ
『火喰鳥を、喰う』は、死者の日記をきっかけに、怪異と事件の境目がじわじわ曖昧になっていくミステリーホラーです。
怖さだけで押し切る作品というより、「これは本当に怪異なのか?」「どこまでが現実なのか?」と疑いながら読み進める面白さがあります。
映画化で作品を知った人も、まずは原作でこの不穏な空気と反転の気持ちよさを味わってみるのがおすすめです。
ホラーの気配、本格ミステリの謎解き、読後に残るざわつき。その全部を楽しみたい人に刺さる一冊です。

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